音楽に寄せて 

街のピアノ講師が日々思っていることを綴ります

2023-01-01から1年間の記事一覧

繊細な感覚

ピアノで音色や美しい響きを求めるようになってから、この楽器はなんて繊細なんだと思うようになりました。 何年も前、自分の先生がブログで、「ピアノを熟れたトマトや絹ごし豆腐だと思って弾くように」と書かれていたのですが、その言葉の意味がようやくわ…

本質を伝える

時折、あるピアノの先生のブログを訪問しています(はてなブログではないです)。 私よりもずっと年配のその先生は、何十年と続けた指導法を、ロシアメソッドに出会い、ガラッと変えた方です。 これはなかなか出来ることではないと思います。 何十年と続けた…

憧れを捨てる

私たちは、残念ながら自分以外のものにはなれません。 どんなに誰かや何かに対してを憧れを抱いて頑張って努力しても、 最終的には「自分以外にはなれないのだ」と分かるときが来ます。 その時は愕然としてしまうかもしれないし、淡々と受け容れられるかもし…

シンプルな曲

音数(おとかず)が少なくリズムも複雑でない、シンプルな曲を美しく弾く。 これが出来ないで複雑な曲を弾いても、その曲を本当に美しく弾くことは出来ないと思います。 でも、多くの人がそういう複雑な曲、いわゆる「難しい曲」に手を出してしまいます。 そ…

耳を変える~美しい響きのために~

先日は1ヶ月ぶりに自分のレッスンでした。 レッスンの中で、ヨーロッパ人と日本人の音に対する感覚、ひいては音の聴き方の違いなどのお話を伺いました。 ヨーロッパは、旅行等で行かれたことがある方はわかると思うのですが、日本と違って湿度が低いですね。…

圧巻!!《アレクサンドル・カントロフ ピアノリサイタル 2023》

カントロフ、聴いて来ました! 以前から「すごい!」と聞いていましたが、まさかここまでとは!いうくらい、 とにかくすごかったです! 私の語彙力のなさが炸裂しそうですが、、、 プログラムです↓ よく考えられたプログラムです。 どの曲の演奏も本当に素晴…

楽譜を読むということ

ピアノを習っている皆さんは、普段、どのように楽譜を読んでいますか? 楽譜を読むとはどういうことか、本当の意味での譜読みとは何か?ということを、言葉で表すのは非常に難しいなと感じており(少なくとも私にとっては)、ずっと前から記事にしようと思い…

おすすめの楽譜『美しく響くピアノ』シリーズ

今回は、おすすめの楽譜ということで、『美しく響くピアノソロ』をご紹介します。 YAMAHAから出ており、ご存知の方は多いと思います。 私もそうだし、ピアノの先生をしている方は生徒さんに弾かせてあげたことがある方、結構いらっしゃると思います。 私が紹…

巨匠は余裕~《ミハイル・プレトニョフ ラフマニノフピアノ協奏曲全曲演奏会 第1夜》

プレトニョフのピアノによる、ラフマニノフピアノ協奏曲全曲演奏会の第1夜に行ってきました。 ピアノはShigeru Kawai プレトニョフの演奏は2月のソロリサイタル以来、今回で2度目。 その時は「巨匠は自由~」というタイトルで書かせていただきましたが、、 j…

「美しい音」で弾くために一番大事なこと

ピアノを「美しい音で弾きたい」と思っている人は多いですね。 では、今回のタイトル「美しい音」で弾くために一番大事なことって、何だと思いますか? 技術?筋肉?奏法を変えること??「良い」ピアノで弾くこと??? どれももちろん大事ですね。 確かに…

目的を持って練習する

お久しぶりです。 この夏はとにかく暑かったですね。。暑くて、休みの日はほぼ引きこもり状態でした。 YouTubeの料理動画にハマり、いろいろなチャンネルの動画を見まくっていました。 料理動画、面白いですね。沼です。 さて、今日は「目的を持って練習する…

ファッションモデルとピアニストの共通点

以前、林修先生の「林先生の初耳学」という番組が好きで毎週のように見ていました。 その中で、今もあるのかわからないですが(見なくなってもう何年か経つので)、タレントのアンミカさんがモデルの卵を育ててパリコレに出演させる、というコーナーを興味深…

自分を受け容れる

前回の記事の補足です。 junkopiano.hateblo.jp この中で、緊張しやすい人は、自分に対する自信のなさや自分への信頼感の低さが原因だと書きました。 これを読んで何かモヤッとした人、いるかもしれません。 ただ、私自身、本当に過緊張であがり症だったので…

自分を信頼する

ピアノを弾きながら気づいたことがあります。 それは、「自分を信頼する感覚」というのが、ピアノを弾くうえで非常に大切なのではないか?ということに。 「自分を信頼する」 これは、弾いている時のからだの(内側の)感覚だったり、また、自分の音楽に対す…

大人こそ「自己受容」を

こんにちは。 最近、集中的に取り組んでいることがあります。それはピアノとは関係なく、公にはできないのですが、そこから関連して思ったことを書きます。 「自己受容」については、私は何度かここで書いてきましたが、今、日本の多くの子どもたちの心が危…

意識的になる

ようやく腰が良くなり、自分のレッスンに行ってきました。 ラフマニノフと、バッハを見てもらいました。 正直、バッハは練習不足だったので「・・・」でしたが、練習の取り組み方を教えてもらいました。。(←行き詰まっていたの、バレバレでしたね) 「でも…

親が子どもに与える影響を考える

お久しぶりです。 4月は年度初めということもあり、気持ち的にも少しバタバタしていました。 ここ最近思っていたことを書きます。(ピアノとは関係ないです) 『世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業』という本を読みました。 世界中の億万長者がたどり…

日々感動する

こんにちは。2週間ほど前ですが、「エゴン・シーレ展」(東京都美術館)と「憧憬の地 ブルターニュ展」(国立西洋美術館)を観てきました。 腰がまだ完治していない状態での鑑賞でしたが、すでに予約していたので・・・ それに、家でじっとしているより良い…

音はエネルギー

人と会話をしていて気づいたことがあります。 言葉や音って、エネルギーなんだ、ということ。 考えてみれば当たり前なんですが、普段はあまり意識しないことかもしれません。 気づいたきっかけは、相手の人が発している言葉とそのエネルギーが食い違っている…

ゆったりと向き合う

最近、腰を痛めました(笑)。 仕事もままならない状態で、かなりしんどかったです。。 たぶん、いろいろな疲れが溜まっていたんだなと感じていて。 目標があると全力投球し過ぎてしまうところは、やはりちょっと考えなければと思っています^_^;反省。。。 …

繊細、骨太、そして真摯~《牛田智大 ピアノ・リサイタル》

ピアニスト・牛田智大さんのリサイタルを聴いてきました。 プログラムはこちら↓ アンコールです↓(5曲も!) ・J.S.バッハ/ブゾーニ編曲:コラール前奏曲 “われ汝に呼ばわる” BWV639・パデレフスキ:ノクターン Op. 16-4・パデレフスキ:6つの演奏会用ユモ…

演奏する喜び

大変遅ればせながら、人前で演奏する喜び、楽しさがようやく分かってきました(笑) 先日の発表会では、「聴いてもらいたい」と思っていた人に聴いてもらえるという、とても幸せな時間を過ごすことが出来たのです。 junkopiano.hateblo.jp 記事にも書いたと…

意識を育てる

ピアノという楽器は、鍵盤を押せば誰でも、いとも簡単に音が出てしまいます。 だからでしょうか。 何故か、ピアノを弾いている人の多くが、他の楽器をやっている人よりもずっと、音に対する意識が低いという現実がいまだに、特にここ日本では多いのです。 そ…

届ける

私がレッスンを受けている中で、よく言われることがあります。 それは、 「音を遠くに飛ばす意識を持って弾きなさい」ということ。 ピアノを弾く上で、どんな心がけ、意識を持つかということは非常に大切なことです。 ちょっとした心の持ちよう、意識の違い…

巨匠は自由~《ミハイル・プレトニョフ ピアノリサイタル 2023》

発表会と日にちは前後しますが、念願のミハイル・プレトニョフの演奏を聴いて来ました! ミハイル・プレトニョフといえば、現代最高のピアニストの1人。 その演奏を聴いた人から以前、「世界観が違う」と聞いていて、もうこれはいつか聴いてみたい!と思い…

いつも「今ここから」

発表会での演奏が終わりました。 昨年、初めての参加で、自分の音を聴いていなかったこと、「弾いて」しまったことなど、大反省、悔しい思いをしました。 今年は・・・緊張した中でも、自分の音を(昨年よりは)聴きながら演奏できたこと、深く弾きすぎたと…

きっと、ピアノがもっと好きになる~《ラファウ・ブレハッチ ピアノリサイタル 2023》

久しぶりにラファウ・ブレハッチの演奏を聴いてきました! そして久しぶりのサントリーホール プログラムです↓ アンコールは期待通りショパンでした↓ ・ショパン: ワルツ 第7番 嬰ハ短調 Op.64-2 ・ ショパン: 前奏曲 第7番 イ長調 Op.28-7(←「太田胃散」の…

引き出す

皆さんは、普段ピアノを弾いている時、どのような意識を持って音を出しているでしょうか? 私は現在師事している先生から、 「どんなピアノ、状態のピアノであっても、そのピアノが持っている最大限に美しい音を引き出すつもりで音を出しなさい」 と教わって…

ツボを探す~楽器との対話~

ピアノという楽器は、生きています。 タッチの感覚、鍵盤の重さなど、ひとつ一つに個体差があります。 響きのツボ、というのも当然あるわけです。 鍵盤の深さ何ミリくらいをねらえば、その楽器から最も美しい響きを引き出せるか、というツボです。 これは、…

意思を持って弾く

自分が出演する発表会まで3週間ほどとなり、ちょっと緊張してきている日々です。 平均律のフーガのテンポをどうするか?でずっと迷っていたんですが、ようやく自分の中でしっくりくるテンポを見つけることが出来ました。 テーマの弾き方を、厳格な感じにする…