音楽に寄せて 

街のピアノ講師が日々思っていることを綴ります

楽譜を読むということ

ピアノを習っている皆さんは、普段、どのように楽譜を読んでいますか?

 

楽譜を読むとはどういうことか、本当の意味での譜読みとは何か?ということを、言葉で表すのは非常に難しいなと感じており(少なくとも私にとっては)、ずっと前から記事にしようと思いつつも、なかなか出来ずにいました。

 

たぶん現時点でも上手く言語化できていないところのほうが多いんですが、今の時点で書けることを書こうと思います。

 

 

私は子どものとき、同年代の友人たちよりも、かなり譜読みが早いほうでした。

(これは自慢でもなんでもなく、「ただそうだった」というだけです。あしからず。)

「遊び弾き」は当時から好きでよくやっていたこともあり、本来練習すべき曲より自分が好きな曲、弾きたい曲を、どんどん勝手に遊び弾きしていたからだと思います。

だから、自分では譜読みは早いほうなんだ、と勝手に思っていました。

 

ところが、進学した音大で師事した先生から、「あなたは譜読みが遅い」と言われたんです。

ショックというより、「?」という感じでした。

先生が言っている意味がよくわからなかったんです。

 

いま思えば、子ども時代は単に「音を読むのが早かった」んです。

まあ普通の子どもでしたからね。楽譜から音楽を読み取る、とか、楽譜に書かれていない作曲家の思い、なんて、そこまで読み取れるほどの才能はなかった、ということです。

 

で、大学を卒業してピアノを教える仕事するようになってしばらく経ってから、恩師から言われたんです。

「譜読みが早くなってきた」と。

 

・・・どんだけ遅かったんだよ、とつっこみたくなりますが(^_^;)。

 

教えるようになって、子どもたちにどう教えれば伝わるか、理解してもらえるか、試行錯誤していたわけですが(現在進行中)、それが自分自身の読譜力にも良い影響をもたらしたようなんです。

 

子どもたちを見ていると、「P(ピアノ)」と書かれているからPと弾いていたり、クレッシェンドと書かれているからクレッシェンドしています。

 

でもね、それだと音楽になりません。

楽譜通り正しく弾いているだけでは、音楽にならないんです。

 

ここからが言葉で表すのに難しいところなんですが、

楽譜から音楽を読み取るということがどういうことかが本当の意味でわかるようになってくると、

「これこれこういう流れの音楽だからP(ピアノ)と書かれていて、クレッシェンドが書かれているんだな」ということが自然とわかってきます。

 

他の表情記号や速度記号、強弱記号なども全部そうです。

 

こういう音楽だから、作曲家はこのように書いている

あるいは、当たっているかどうかは別として「こういうふうに表現してほしいからPとかかれているのかな?」と想像を巡らすことができるようになってくるのです。

 

ただ音符を弾けばいいんじゃないんです。

ただ書かれる通りに強弱をつけたり、dolceと書かれているからdolceの表情をつけるのではないんです。

「こういう音楽だから」なんです。

 

作曲家は、「こういう音楽だから」そのように書いているんです。

 

こんなふうに楽譜から音楽を読み取れるようになるには、ある程度経験と年数、理論の知識も必要です。

 

 

今回いちばん伝えたいのは、子ども時代の私のように、音読みが早いからといって、自分は譜読みが早いほうなんだと勘違いしないようにしましょうね、ということです(笑)

みなさん、くれぐれも気をつけましょう。。(自戒の意味も込めつつ)

 

そして、楽譜から音楽を読み取れるようになりたいのなら、やはりたくさん楽譜を読むことです。

ピアノ譜だけでなく、オケとか室内楽などのスコアリーディングなんかはオススメです。

個人的にはスコアリーディング好きなので、ぜひ実践してもらいたいですね。

楽しいですよ^^

 

 

ようやく暑さが落ち着いてきて、読書ならぬ読譜にはもってこい(?)の季節になってきました。

楽器を弾くことだけが上達につながるわけではないので、一日に5分でもいいから楽譜と向き合う時間を持ってみましょう。