先日は1ヶ月ぶりに自分のレッスンでした。
レッスンの中で、ヨーロッパ人と日本人の音に対する感覚、ひいては音の聴き方の違いなどのお話を伺いました。
ヨーロッパは、旅行等で行かれたことがある方はわかると思うのですが、日本と違って湿度が低いですね。
大気中の成分の違い、住宅環境の違い(石造りか木造か)、言語的な違いもあり、日本人と音に対する感覚が全く違うのだそう。
私はヨーロッパで生活したことがあるので、お話を聞いていてよくわかりました。
湿度が低い分、音の通りも日本と違うし、言語的な違いというのもイメージできます。
ドイツやオーストリアで生活していたとき、「日本人は音に対して鈍感なところがあると思う」と、向こうで知り合った日本人の友人が話していたことを思い出しました。
それは、RとL、BとW、NとMなどの違いが、聞き取りや発音で日本人は苦手な人が多いこと。
日本はスーパーでさえもBGMがかかっていますが、ヨーロッパはBGMがかかっているお店が少なかったことなど。
BGMって、音をなんとなく聞き流すクセがついてしまうからあまり良くないという意見があるので、そういう観点から言っていたのだと思います。
あと、日本語は、英語を含めた他の欧米諸国の言語に比べたら平坦です。
日本人のしゃべり方も、平坦な人が多いと感じているので、言語的な影響はどうしてもあるんですよね。。
で、だからこそ、ピアノを弾く時は意識的に音の聴き方を変えていかなければならないのです。
これも先生がおっしゃっていたのですが、日本のピアノ教育の大半は、こうした音の聴き方の指導が徹底していないと。
ほとんどの人が基音ばかりを聴いていて、だから響き(音色)が美しくないのだと。
私は奏法を変えてもう何年かになりますが、改めて、奏法を変えるとは耳を変えること、つまり音に対する感覚や聴き方を変えることだなと思ったのです。
美しい響きを、自分の耳で探っていくこと。
ひたすら、地味で地道な練習の繰り返しです。
他人が見たら「何をやっているんだ??」と思うほど、見ても面白くないしよくわからないと思います。それくらい地味な練習です。
でもそれを続けていくことで、手も育っていくのです。
f(フォルテ)など、強い音で鍵盤の下までしっかり弾くことで指が強くなる、と思っていたら、それは見当違いです。
音が美しくないし、本当に必要な筋肉も育ちません。
リズム練習も、「聴くこと」よりも「弾くこと」に重点が置かれていて、耳が育たないし、良くないなと思います。
意外かもしれませんが、美しい響きを探しながら、ペダルを入れて弱音で、、、
という練習を続けていくと、必要な筋肉が育っていきます。
時間はかかるけど、ピアノはそういうものだと思ってください。
何年も何年も時間をかけて、耳も手も育てていくのです。