音楽に寄せて 

街のピアノ講師が日々思っていることを綴ります

引き出す

皆さんは、普段ピアノを弾いている時、どのような意識を持って音を出しているでしょうか?

 

 

私は現在師事している先生から、

 

「どんなピアノ、状態のピアノであっても、そのピアノが持っている最大限に美しい音を引き出すつもりで音を出しなさい」

 

と教わっています。

 

これは、ピアノを弾く上でもっとも大事なことのひとつではないでしょうか。

 

 

ピアノ弾きは、残念ながら自分のピアノを持ち歩けません(泣)

弦楽器奏者や管楽器奏者の方がうらやましいと、何度思ったでしょう。。

(同意してくれる人、いるかな)

 

普段弾いている自分のピアノとは違うピアノを、本番では弾くのです。

スタジオを借りて練習する際もそうですし、レッスンを受ける際も当然、先生のお宅のピアノ、もしくは教室のピアノを弾きますね。

 

ピアノ1台1台に個性があるし、その時の気温や湿度でも状態は常に変わっていますから、いつも自宅で練習しているのと同じに弾くと、なんだか上手く弾けない、という人が多いのは、自然なことなのです。

 

それに、スタジオ練習や教室でレッスンを受ける場合、自分の前に弾いていた人の名残もあったりします。

敏感な人は、それに惑わされてしまう場合もあります。

 

 

・・・ふぅ・・・こう書くと、ピアノってホント、手強い楽器ですよね(笑)

 

 

話を最初に戻すと、どんな状態のピアノであっても、そのピアノが持つ最も美しい音を引きだそう、という意識を持って弾くことは、普段の練習からできることです。

 

この「引き出す」という言葉、個人的に好きですし、ピアノを弾く際に大事な意識のひとつだと思っています。

 

 

「弾く」じゃなくて、「引き出す」

 

 

「引き出そう」と意識するだけで、少し動きが変わります。

そしてそれは当然、音にも影響します。

 

 

 

ピアノで美しい音を出すためには、これ以外にもいろいろと大事なことはあります。

だからこれだけで劇的に音が変わるかというと、それは何とも言えません。。

でも、「そのピアノが持つ最大限に美しい音を引きだそう」「美しい音で弾きたい」という意識、思いが、美しい音で弾けるようになるための大事な一歩になることは間違いありません。

 

 

 

ピアノは、鍵盤を押せば簡単に音が出てしまうからこそ、音を出すその前に、どのような意識を持っているかが、非常に大事だと考えています。

 

 

普段の練習のとき、ぜひぜひ、「美しい音を引きだそう」と意識を持ってピアノに向かってください。

一朝一夕にはいかないと思いますが、その思いがあなたを育て、耳を育て、手を育て、

やがては美しい音で弾けるようになる日が来るのです。

 

 

何年かかっても決して諦めないことです。

私が知る限り、音大でバリバリ弾いていた人でも、数年かかっています。

ピアノはいろいろと時間がかかるのだ!それがフツウだ!と思っていれば、何年かかってもダイジョウブですね?(笑)

 

 

ピアノを弾く、ということは、今の時代に逆行しているなぁ、とつくづく思います。

できるようになるには時間がかかるけど、その過程も楽しみながら、日々ピアノに向かってください。