音楽に寄せて 

街のピアノ講師が日々思っていることを綴ります

意思を持って弾く

 

自分が出演する発表会まで3週間ほどとなり、ちょっと緊張してきている日々です。

 

平均律のフーガのテンポをどうするか?でずっと迷っていたんですが、ようやく自分の中でしっくりくるテンポを見つけることが出来ました。

 

テーマの弾き方を、厳格な感じにするか?それともプレリュードからの流れでより深い悲しみを湛えたものにするか?で迷っていたのです。

 

テンポというよりも、「自分がどんな表現をしたいか?」が決まった、という言い方の方が正しいかも知れません。

 

いろいろなピアニストたちの演奏を聴いたりして、参考にしてみたのですが、

みんな自由でテンポも十人十色。

 

恐ろしくゆっくりな人もいれば、「えっ?そんなに速く?」と思う人もいて。

プレリュードとのバランスをとっていたりも。

参考に聴いたら聴いたで逆に余計に「う~ん・・」となっていました。

 

 

でも、みんなちゃんと意図があってのそれぞれのテンポなんだとわかります。

 

この音楽に対して何を表現したいのか?

明確な意図や意思があるからこそのそれぞれのテンポ。

 

それに気づいたら、では自分はこの曲で何を表現したいのか?ともう一度最初に立ち返ってみたのです。

そうしたら、おのずとしっくりくるテンポで弾けるように!

 

 

どう表現するかでタッチも大きく変わります。

当然、求める響きも変わるわけで、あれこれ試行錯誤しながらようやく、という感じです。

 

 

もしかしたら、聴いている人によってはゆっくり過ぎに感じるかも知れません。

でも、そう感じさせないよう、響きを引っ張りながら弾くことにしました。ムズいけど

 

自分がどう表現したいか?を軸にして、試行錯誤しながら見つければ、おのずとそれにふさわしいテンポは見つかることを再発見。

 

もちろん、その曲の音楽が生きるテンポというのはありますが、

「自分は何を伝えたいのか?表現したいのか?」を中心に考えることも大事。

 

これはピアノに限らずですが、自分の中でちゃんと軸を持って考えや思いを持っていれば、たとえ他人からどう思われようと気にならなくなるはずです。

 

 

 

また、技術が伴わない場合もあると思いますが、それならそれで、では今の自分に何ができるのか?未熟な中でも何を表現したいのか?

 

こうしたことを自分の中で明確にすることは大事。

そうすると、どのようなテンポで弾いたらいいか?がわかるようになります。

 

こう考えると、テンポも表現のひとつなのだとわかります。

 

何度も書きますが、明確な意図や意思を持って弾くことです。

 

あなたの中で「私はこの曲をこういうふうに表現したい」というはっきりとした意思があれば。

あるいはまた、「この曲を通して私は○○を伝えたい」という意図があれば。

必ずや「何か」は伝わります。

 

逆に言えば、伝えたいことが何もない状態で弾いたら、「何も」伝わらないということです。

 

音楽をするって、コミュニケーション。

ピアノで「何か」が伝わったときは、何ものにも変えられない喜びがあります。

だから今でもこうしてピアノを弾き続けているのだと思います。

ひとりでも多くの人に、この喜びを知ってほしいなと思っています。