音数(おとかず)が少なくリズムも複雑でない、シンプルな曲を美しく弾く。
これが出来ないで複雑な曲を弾いても、その曲を本当に美しく弾くことは出来ないと思います。
でも、多くの人がそういう複雑な曲、いわゆる「難しい曲」に手を出してしまいます。
それが悪いとか、ダメだというわけではないのですが、本質的なことにも目を向けることは大事だよと言いたいのです。
音数(おとかず)が少なく、一見「易しい」曲でも、本当に美しく弾くのは案外難しいものです。
シンプルな曲ほど、その人の本当の実力がわかってしまうものです。
短くても音数が少なくても、和声の美しさを感じたり、「本当に美しい響きかどうか?」と自分の耳で、一音一音よく聴きながら弾く。
そういうふうにピアノと向き合ってみると、ピアノという楽器の本当の素晴らしさがわかって、ますますピアノが好きになります(私の場合ですが)。
だからというわけじゃないけど、多くの人がピアノの本当の素晴らしさを知らないで弾いているのでは?とも思うのです。
それくらい皆、指を動かすことに一生懸命です。
指は確かに大事な要素のひとつだけど、そればかりに気を取られないでください。
それよりも耳。
音楽なのだから、音を聴くことです。
でも皆、「弾いてばかり」で聴いていません。
私たちピアノ指導者も、音を「聴く」ということの本質を追究し続け、そうした指導を探求し続けることは大事だと思います。
あまりに皆さん、「弾いてばかり」なので、そんなことを思いました。
自分自身への戒めの意味も込めて書きました。