音楽に寄せて 

街のピアノ講師が日々思っていることを綴ります

「美しい音」で弾くために一番大事なこと

ピアノを「美しい音で弾きたい」と思っている人は多いですね。

 

では、今回のタイトル「美しい音」で弾くために一番大事なことって、何だと思いますか?

 

技術?筋肉?奏法を変えること??「良い」ピアノで弾くこと???

 

どれももちろん大事ですね。

 

確かに技術がなければ「美しい音」で弾くことはある意味難しいかも知れません。

筋肉も、もちろん大事です。

奏法を変えることは、自分にとって必要なら変えることも有りでしょう。

「良い」ピアノで弾くこともある意味では大事なことです。

(しかし、「良い」ピアノであればあるほど、技術が必要なのは言うまでもありません)

 

 

私個人の考えではありますが、もっとも大事なのは

「良い音」と「本当に美しい音」の違いがわかる耳を育てることと、

「美しい音」を出すその前に明確にイメージしていることです。

 

「良い音」で弾いている人はわりと多いですが、「本当に美しい音」で演奏している人は案外少ないので、それらの音の違いが、何がどう違うのかわかることも大事です。

 

また、どんなに技術を磨いても、奏法を変えても、また、筋肉をつけても、

ピアノを弾く人自身の内側に、「美しい音」に対する明確なイメージがなければ実現できません。

 

 

 

「良い音」と「本当に美しい音」の違いについては、それを明確に示してくれる先生に習うのが良いでしょう。

 

重要なのは、音を出す前にすでにイメージすることです。

 

私が思うに、魅力的な演奏、美しい音で弾いている人というのは、共通して

実際に弾く前に、すでに明確なイメージを持っています。

 

 

内的聴覚が出来ている(出来ているという表現が正しいのかわかりませんが・・)のです。

 

この、「弾く前に」(音を出す前に)というのがとっても大切です。

 

自分はこれからどういう音で弾きたいのかが、自分で分かっている、という感じでしょうか。

 

 

ピアノを弾くということは、弾く人の内側をピアノという楽器を通して表現することだと考えています。

 

ですから、もし本当に「美しい音で弾きたい。弾けるようになりたい」のなら、

自分はどんな美しい音を出したいのか、自分でわかっていなければなりません。

 

だって、どんなに指導力のある先生についても、実際に弾くのはあなたなのですから。

 

 

世の中には、びっくりするくらい本当に素晴しい音で奏でるピアニストがいます。

YouTubeで手軽に気軽に演奏を聴けることは大変有り難いことではありますが、

できるだけたくさん、生の演奏に触れること。

ピアノ以外の楽器から学ぶことも多いので、それらの楽器を知り、曲も聴いてみること。

また、ピアノに触れることだけが上達につながるわけではないので、絵画を観る、本を読む、自然に触れるなど、自分自身の内側を豊かにする経験をたくさんすることも大事です。

 

 

ちなみに、「良いピアノ」で弾くことですが、それよりも、アップライトであろうが、何年も調律をしていないピアノであろうが、古いピアノであろうが、また電子ピアノであろうが、

いま目の前にある楽器が持っている最大限に美しい音で弾こうという意識で弾くことは大事だと思います。

私自身は学生の頃からそのような意識で弾いていましたし(音大出身の人ならわかると思うのですが、大学の練習室のピアノってみんなガンガンに弾くから良い状態のピアノに当たることって稀でした。というかほぼない?!)、今の先生からもそのように教わっています。

ピアノ奏者は自分の楽器を持ち運べないからこそ、この意識はとても大切ですね。

 

やはりここでも、弾く人の意識、内側が大切なのです。

 

 

ピアノと向き合う時間も、そうでない時間も、自分自身の内側を豊かにする、しておく。

 

私自身がこれからもずっと大事にしたいことです。