音をつくる、とはどういうことでしょうか?
ピアノを弾く、ということは、
ピアノで音楽をする、ということだと考えています。
ピアノで音楽をするとは?
それは、ピアノを弾いているあなたの思いを、
聴く人にピアノで伝えるということ。
そのために、音をつくるということが非常に大切なのです。
音をつくらなければ、あなたの思いは、本当には伝わりません。
音色は、あなたの思い。
だから、ピアノ教育の場において、音をつくること、
音色の指導は非常に重要なのです。
でも、弾くことや曲を仕上げることばかりが重視されがちで、
音のつくりかたの指導が行われているのは、
今の日本でいったいどれくらいの割合でしょうか?
ピアノは、指が動いて頭の回転も良ければ、
「弾くこと」はそんなに難しいことではありません。
誰でも練習すればそれなりに形になります。
でも、それは表面的なものにすぎません。
なぜなら、ピアノは簡単に音が出てしまうからです。
私の先生がご自身のブログに
「日本は表面的な演奏で溢れている」、と書かれていたことがあります。
読んだ当時は、この言葉の意味をすぐに理解することはできませんでしたが、
奏法を学び、ピアノという楽器を昔よりほんの少し理解しつつある現在は、
先生がこのように書いた真意が以前よりもわかるようになりました。
ただ弾いているだけでは、たとえゆっくり練習や部分練習をたくさんしても、
やはりただ音が鳴っているだけの演奏です。
でももし、あなたが「自分の思いや意思がこもった音で」
ピアノを弾けるようになりたいのなら、
「ピアノの本当に美しい音とはどんな音なのか」を知り、
それを実際に自分の耳で聴き、
その音を目指してひたすら自分の耳を育てていく必要があります。
そして、そのための技術を学ぶ必要があります。
「ピアノの本当に美しい音」とそうでない音の違いは、
ほんの紙一重です。
だから難しいのかもしれません。
自分の意思がこもった音で弾くことの喜びを、
ひとりでも多くの人に知ってほしいです。
それは、真の楽しさです。
指を動かす楽しさ、音が出る楽しさよりも、
比べものにならないほど、豊かで素晴しいです。
命の宿った音=音色=あなたの思いがこもった音
このような音で弾けるようになるにはある程度年数を要します。
耳と、筋肉を育てていくからです。
難しい曲を弾くことばかりにとらわれないで、
好きな曲を弾きつつも、「本当の技術」を身につけるための練習をしましょう。