音楽に寄せて 

街のピアノ講師が日々思っていることを綴ります

静寂を大切にする

立て続けに投稿している記事で、自分と向き合うことの大切さを書いていますが、

 

junkopiano.hateblo.jp

 

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現代は大人も子どももみんな忙しく、どこかせわしないです。

仕事や家事、勉強に受験、習い事などに追われています。

モノや情報に溢れ、欲しいものを得ようと一生懸命動いている現代人たち。

 

これでは「心を亡くして」当然です。

 

私には、今の社会、世の中の仕組みそのものが、現代人をそうさせるように仕向けている、と感じています。

 

地位や名誉、仕事やお金、パートナーや子ども、家など他にもまだありますが、それらを得ることが幸せであり、一人前の人間になることなんだと。

そうした情報を、テレビや雑誌などで流し、洗脳させている、そう感じます。

洗脳された人は、それらを得ようと一生懸命です。

そしてそれらを得てもなお、「もっともっと」と忙しくしています。

他人軸で承認欲求が強いと、どうしてもそうなってしまいます。。

 

本当に大切なもの、多くの人が本当に欲しがっているものって、そんなに多くないです。

そしてそれらは、すでにその人の中(内側)にあります。

 

だから自分と向き合うことが大切なのですが、何かを得ようと時間や仕事などに追われていれば、そんな時間はなくなりますね。

 

ピアノも、「レッスンがあるから」と練習している人、多いと思います。

「練習しなきゃ」とピアノの蓋を開け、譜面台に楽譜を置いてすぐに音を出していませんか?

(そもそも、練習は「しなくてはいけないもの」なのでしょうか?)

 

でも、ちょっと待ってください。

何も考えずに、すぐに音を出すクセ、見直しましょう。

 

何度も書いていますが、ピアノはあなたの内側を、言葉に代わって音で表現するものです。

何も考えずにいきなりポーンと弾いてしまうことは、何も考えずに相手に向かって言葉を発することと、同じです。

 

そんなこと、自分がされたらどうですか?嬉しいですか??(ちょっと考えてみてください)

 

だから、音を出す前に、一呼吸して「ワタシはどういう音で弾きたいんだろう?」と考えるんです。

 

そもそも、練習は何のためにするか、わかりますか?

上手くなるためですね。

では、ピアノが上手くなる、とはどういうことだと思いますか?

楽譜通りミスなく弾けるようになること?指が達者に動くこと??

確かにそれも「上手くなる」ことに含まれてはいます。

 

 

私が思う、「ピアノが上手くなる」とは、自分の思いを伝えられるようになること、自分の音楽を表現できるようになること、です。

 

だから、多少ミスがあっても、たどたどしくても、そうした演奏が出来るようになったら、その人のピアノは「上手くなった」と言えます。

 

練習は、そうした演奏ができるようになるためにするものです。

だから、あれこれ試行錯誤することは、必然なのです。

(だって、音は言葉と一緒で目に見えないから)

 

いつもせわしなく、「練習しなくては」といきなり音出すその前に、一呼吸して、5分でもいいから静寂の時間を持ってください。

そうしたことの積み重ねが、あなたの内側を豊かにし、ピアノ上達へとつながるのです。

 

 

現代は忙しい、だからこそ、意識的に静寂の時間を持つことは大切だと思います。

たとえ5分でも、その積み重ねが大切。

せめてピアノを弾く時くらいは、そうしてください。

 

 

 

静寂や静けさを大切にしている演奏家の演奏って、個人的にはとても好きだし心惹かれる演奏のひとつだと思っています。

 

 

余談ですが、「音楽とは何か?」を本当に理解している先生なら、そんなに「練習して」とは言わないはずです、たぶん(笑)。