音楽に寄せて 

街のピアノ講師が日々思っていることを綴ります

温かい人

ベートーヴェンのイメージって、どんなですか??

 

よく見る肖像画だと、眉間にシワが寄っていてなんだか険しそうだし気難しそう。。

 

子どもの時、私はそんなふうに思っていました。

小学校の音楽の授業で交響曲第5番『運命』を聴いたのもそんなイメージを持つきっかけでした。

ジャジャジャジャーン!

あの出だし、インパクトありますよね。

ベートーヴェンと言えば『運命』を思い起こす人は多そうです。

他にも、ピアノソナタでは『熱情』や『月光』など、激しく情熱的な音楽が人気です。

 

 

しかし、そんなベートーヴェン像が180度変わったのが中学1年生の時。

ピアノソナタ第8番『悲愴』の第2楽章を聴いた時です。

バレンボイムの、ベートーヴェン3大ソナタのCDでした。

 

穏やかで温かい、思いやりと愛情深さに溢れた曲だと、子どもながらに感じました。

そして、「ベートーヴェンの音楽の本質って、実はこっちでは?」と思ったのです。

 

天才とはいえ、ベートーヴェンも1人の人間だったのだからいろいろな面を持っていてもおかしくはなく、実際かんしゃく持ちで激しい性格だったと言います。

だから激しく情熱的な音楽もまた、ベートーヴェンが持っていた面の表われなのだと思います。

 

でも、激しい面がある一方で、本来のベートーヴェンの人間的な良さというのが表われているのがソナタ交響曲などの緩徐楽章な気がしてならないのです。

 

気難しいところがある一方で、実は人が好き。

それを上手く表せなかっただけかも、なんて思ったり。

きっと不器用だったんだなぁ、と。

 

 

仕事柄子どもと関わっていることもあり、子育てや親子関係に関することには興味があるのですが、ベートーヴェンの子ども時代の家庭環境を思うと、彼もまた心に深い傷を負った1人の人間だったのは確かです。

(親から傷を受けない人なんて1人もいないですからね)

そうした心の傷が、かんしゃくや気難しさとなって表われてしまっただけで、本来のベートーヴェンは本当は愛情深い人だったと、今でも思っています。

 

まあでも、相当な変人だった、というのは確かなようですが(笑)

 

というわけで、私のベートーヴェン像はこのバレンボイムの『悲愴』を聴いて以来、ずっと変わっていません。

ベートーヴェンの緩徐楽章、大好きです。

同じように感じている人は結構いるんじゃないかなぁ。

 

 

 

あくまで私の見解を書いたまでですが、

ベートーヴェンの音楽を聴くときは、そんなふうに想像を巡らしながら聴くと、また違った魅力を発見できるかもしれませんよ。

 

でもこれはベートーヴェンに限ったことではありませんね。

大作曲家たちも1人の人間だった。

そう思うと、ちょっと身近に感じて彼らの音楽をより楽しめる気がしませんか?

 

視点を少し変えるだけで、音楽はもっと楽しめる。

いろいろな楽しみ方がありますね。

 

写真はベートーヴェンの生まれ故郷、ドイツ・ボンでのベートーヴェン像。

旅行で訪れたときのもの。

ちょうどサッカーワールドカップ南アフリカ大会が行われていた時期だったので、ドイツ国旗がかかっていました。(異常なほどの熱気だった。ドイツ人のサッカー熱はすごい(^0^;))