音楽に寄せて 

街のピアノ講師が日々思っていることを綴ります

耳が育てる

ピアノ上達の秘訣はいくつかありますが、

 

もしひとつだけ答えるとしたら、

 

耳が大事

 

と言います。

 

 

一にも二にも三にも耳です。

 

 

そして、ピアノに唯一触れているのは指ですから、

もちろん指も大事なのですが、

 

その指を育てるのは、やはり耳だと確信を持って言えます。

(本当は、指というより「手」だと思っていますが、ここでは指と書きました)

 

 

 

耳が、ピアノを弾くのに必要な手や指を育てるのです。

 

 

 

ピアノの「本当に美しい音」を知り、

耳でそれを追い求めていくことこそ、

その音を出すのに必要な手や指が育っていくのです。

 

 

一朝一夕ではいきません。

 

本当にゆっくりと、時間をかけて、育てていきます。

 

 

 

でも、そうして時間をかけて育てていくと、

 

ピアノを弾くのに本当に必要な手や指になっていきます。

 

 

一見、遠回りに見えますが、

即席で身につけたものよりも、長い目でみたとき、

本当の力が身についています。

 

 

耳を育てることを怠らないことは、

私たちピアノ講師に課せられたものだと思います。

 

だからこそ、ピアノの先生も日々勉強が必要なんですね。

 

ハノンやツェルニー、リズム練習などではこういった力を育てるのは難しいです。

(ハノンは、スケールやアルペジオなどの基礎的なテクニックを身につけるのに使うぐらい。ツェルニーも使い方次第だと考えています。リズム練習は論外です)

 

 

ロシアのピアノ教本、またはロシアメソッドによる教本が素晴しくて、

指を動かすことよりも、音をよく聴くことに重点を置いている教本が多いと感じます。

近いうちにいくつかご紹介しますが、

こういった教本で育った生徒さんは、年齢に関わらず素晴しい演奏ができるようになるでしょう。

 

 

たとえ趣味であっても、いえ、趣味だからこそ。

ピアノで「本当に美しい音」が出せて、

自分が心の中で思い描いている音楽を演奏できるようになれたら素敵だと思いませんか?

 

 

ピアノと出会った一人でも多くの人に、

そうした演奏ができる喜びを知ってもらいたいと思っています。

そして私自身、生徒たちとその喜びを分かち合えるよう、日々研鑽を積んでいるのです。