音楽に寄せて 

街のピアノ講師が日々思っていることを綴ります

自分の音楽

5月に入りましたね。清々しい新緑の季節となりました。

 

改めてやはり思うことがあります。

日本人の多くは、他人軸で承認欲求が強い人が多いなと。。

特に、大人の方。。(私も大人ですが)

それが子どもたちにも強い影響が出てしまっているなと。

 

ピアノブログが増えたのがいつからなのか、私は知りません。

自分が学生の頃からあったのか、そもそもあまりそういうのに関心がなかったから知らないだけだと思いますが。。

インターネットが普及し始めた頃からなのでしょうか??

 

なんとなく、ですが、コロナ禍を機に、あるいは2021年のショパンコンクールなんかも影響しているのか、それをきっかけに書くようになった人もいるようです。

 

前述したように、日本人の多くは(ほとんど、と言っていいと思います)、他人軸で承認欲求が強いです。

それが、SNSやブログで発信する人の多さと、決して無関係ではない、いやむしろ、大いに関係ありありかと思います。(これはピアノ関係以外でも言えることですね)

 

私は、ピアノを弾くということは、自分自身の内側をピアノという楽器を通して表現すること、と思っているのですが、それには自分自身と向き合うことが大事だと思うのです。(あくまで私個人の考えです)

 

でも、今のこの世の中で、いったいどれくらいの人が、自分と真剣に向き合っているだろうか?と思います。

 

もし、自分の内側と向き合っていれば、「誰かに褒めて認めてもらいたい」なんてことには無頓着というか、どうでもよくなります。

そんなことは、全くもって重要じゃない、とわかるんです。

 

自分の良いところだけでなく、弱さも汚いところなんかも、全部認めて受け容れていれば、他人から褒めてもらおう、頑張りを認めてもらおう、なんて思うことは愚かなことだとわかるんです。

 

でも、今の世の中はその逆を行っていますね?

 

SNSやブログなどに限らず、今はなんて表面的な音楽や演奏にあふれているのでしょうか。

みんな、自分と向き合っていないし向き合うのが怖いからか、「中身のない」音楽が好まれたり、そういう演奏になってしまうのだと思います。

承認欲求の強い演奏って、聴く人が聴けばバレます。わかっちゃうんです。滲み出てるから。そういう演奏、私は聴きたくありません。(聴きたい人、いるのかな?)そんなのは「音楽ではない」からです。

これはたとえ「上手くても」です。

でも、そうした音楽や演奏に、(それなりに)評価がついてしまう。。

そうした演奏ばかりになって評価がついてしまうと、本当に良いものの本当の良さが残らなくなってしまいます。

私はそれを危惧しています。

 

 

 

 

誰でも気軽に、何かを発信できること、また評価をつけられることは、悪いことではありません。

それは本当に自由であっていいことです。

 

でも、発信するその前に、1度立ち止まって考えてほしいのです。

「ワタシは、なんのために発信するのか?どんな思いで発信するのか?」と。

 

その上で、誰かに褒めて認めてもらいたいわけでもなく、傷のなめ合いをしたいわけでもなく、純粋に誰かに楽しんでもらいたいから、とか、誰からも評価されなくてもいいから自分のための記録として、とか、純粋に誰かの役に立てれば、とか、そういう思いならいいのでは、と思います。(あくまで個人の意見です)

ちなみにこのブログは、皆さんに「考えるきっかけになってほしい」という思いで書いています。

 

 

(無意識レベルで)承認欲求の強い大人ばかりの今の世の中で、純粋で柔らかい心を持っている子どもたちが影響を受けないはずがありません。

子どもたちは、私たち大人よりもずっと、「承認欲求なんて持っていても無意味で役立たずだ」ということを知っています。

でも、周りの大人の影響を受けてしまい、本来必要のないものを持ってしまうようになり、そうしてそのまま大人になってしまいます。。(以降、連鎖は続く。。)

 

そうしたことの積み重ねが、今のこの世の中のありようだと感じています。

 

もし、多くの人が承認欲求を捨て、他人軸をやめたら、SNSやブログで発信する人の数は、今よりグッと減ると思います。

 

自分自身と向き合い、自分のすべてを認めていれば、他人から褒めて認めてもらおうなんて、本当にどうでもよくなるし、ずっと楽に生きやすくなります。

 

 

私自身の経験で言うと、「自分の音楽」を心から信頼していれば、周りがなんであろうと、ただただピアノが好きな気持ちで突き進むことができます。

自分より上手い人がいても、卑屈になったり比べて落ち込む、なんてことはありません。(自分が弾けなくて落ち込むことはありましたが(^0^;))

「素晴しいな、素敵な演奏だな」と思ったら、素直にそう伝えます。

自分よりも上手い人の演奏を聴くことは自分にとって学びになりますしね。

「私ももっと頑張ろう!」と思います^^

 

音楽の道を志した頃からずっと、この姿勢は変わっていません。

大変なこと、悩んで苦しかったことは本当に数多かったですが、それでも自分を支えてくれたのは「自分の音楽に対する信頼感」です。

 

 

趣味でやっている人はなおさら、「自分の音楽」を見つけることは大事だと思います。

「自分の音楽とは何ぞや?」ということも含めて、楽しみながら見つけて育てていくようにすれば、今よりもずっとピアノを弾くのが楽しくなるんじゃないかな、と思います。

 

 

これまでも何度か書いてきましたが、自分で自分を育てることができる人は、必ず上達します。

たくさん失敗や挫折を経験し、また悩んだりしながら、ご自分とピアノに向き合っていってください。