「鍵盤の下までしっかり弾きなさい」
「音の粒をそろえなさい」
私もこういった教育を受けていましたが、
今でもよく見られる光景です。
この「しっかり弾き」
いろいろなことがわかってきた今では、
私自身はこのような指導をすることをやめました。
デメリットがあると感じるからです。
それは、
- 指先の繊細な感覚が育たなくなる
- 音が単一的。音色がつけられてもひとつかふたつくらい→表現が乏しくなる
- 「弾くこと」に意識がいきがちで、肝心の耳が育たない
こういったデメリットが起こると考えられます。
ピアノ演奏で大切なことのひとつに、指先の繊細な感覚があります。
ピアノは、非常に繊細な楽器だと思っているのですが、
その繊細な楽器であるピアノを弾くのですから、扱い方も当然繊細になります。
指先の繊細な感覚がとても大切になってくるのです。
弾いているときは、指の先の1カ所ではなく、様々な場所を使います。
それは、欲しい音、その音楽に必要な音によって、
指の先ほんの1ミリ(そういうイメージを持って弾く)だったり、
指の腹だったり、爪と肉の際だったり・・・
さまざまです。
こういったことが、ピアノ演奏では大切です。
しかし、単に「鍵盤の下までしっかり弾く」ということを教えつづけてしまうと、
それが習慣となってしまい、そういった弾き方しかできなくなってしまいます。
また、修正するのもなかなか大変だったりします。
当然、音色も単調になりがちに。
また、「音の粒をそろえなさい」も、同じ理由です。
音の粒をそろえる、ということは、音色がないのと同じです。
それだと、表情に乏しい演奏になってしまいます。
また、この「しっかり弾き」は、どうしても「弾くこと」に意識がいってしまうので、
もっとも大切な耳が育ちません。
さらに、自分の頭と心を使わない演奏になってしまう可能性が高いです。
リズム練習をすると、最短距離で上記の演奏になってしまいます。。。
こういったことにならないために、どのよう指導が必要か。
それはやはり、耳を育てることです。
みなさん、たぶん「音」は聞こえていると思います。
ドと弾いたらドが鳴っているかどうか、それはわかる。
※「聞く」と「聴く」は違うと考えています。
でも、ここで言っているのはそういう物理的に聞こえている状態を言っているのではありません。
言葉で説明するのにはなかなか難しいところがあるのですが、
「音の質」を聴くようにすること。
それから、弾いた立ちがりの音だけでなく、
音が鳴ったその後のものを耳で追うようにすること。
これを聴くようにすると、時間はかかかると思いますが、
少しずつでも演奏が変わります。
それは、ピアノを弾いている人の耳が変わったことを意味します。
すみません、、今日はここまで。
音の聴き方、耳の育て方については、
とても大事なことなので、また書きます。