良い演奏とは、どのようなものでしょうか?
これはもう人それぞれかなと思うので、「こういう演奏が絶対に良い!」とは言えませんが、今回は私なりの考えを書きたいたいと思います。
ご参考程度にお読みください。
ザルツブルクの街並み
大学の写真はほとんど撮らなかったなぁ(笑)
私は留学前、ほんの数年間勤めていた教室があるのですが、そこで出会った当時の上司から、退職後にこんな内容の手紙を頂きました。
「たくさん演奏を聴いて来てください。そして、良い演奏とそうでない演奏の違いは何か、どんな演奏が「良い演奏」なのか、良い演奏は何故良いのか、をよく考えて来てください」
その先生も就職後に一度、1年間だけウィーンに留学した経験があったそうで、私の留学を応援してくれたように感じ、嬉しかったことを覚えています。
留学先で在籍していた大学は、Klassenkonzertといってほぼ毎日のように学生による演奏会が行われていました。
(無料。もちろんピアノ以外の楽器や歌なども)
先生の門下生による演奏会という意味合いで、毎月行うクラスもあれば、Semester(学期)ごとに行うなど、先生によって違います。
学生の参加も自由です。
私が当時師事していたKleiner先生は、毎月行っていました。
また、大学には演奏家として現役で活躍している先生方ばかりでしたから、そういった先生方の演奏会も学内で頻繁に行われていました。
そんなわけで、私は上司からの言葉の意味を考えながら、ピアノもピアノ以外の楽器の演奏も、とにかくたくさん聴いたのです。
学生とはいえみんなプロ並みに上手く、「今すぐデビューできるんじゃん(・o・)?」と思う人がたくさんで(これは日本の音大と比べものにならないレベルでした・・・)、実際現在活躍している若手のピアニストの人も何人かいて。
でも一方で、「上手い演奏」が必ずしも「良い演奏」とは限らないのでは?と思うようになりました。
そう、ミスなくどんなに達者に弾いていて「上手い」けど、
それがイコール「良い演奏」ではないんです。
感心はするけど、感動しないというか。。
(もちろん上手くて良い演奏をする人もたくさんいます)
ではどんな演奏が「良い演奏」かと考えたとき、それは私の中では
「音楽が自然な演奏」です。
「良い演奏」が何故良いかというと音楽が自然に流れているからです。
作為的でないといいますか。。
これは、当時留学先で知り合った友人たちとも話し合って、みんな「そうなんだよね」と言っていたのを思い出します。
音楽が自然に流れている演奏は、たとえ多少のミスがあっても魅力的で人を惹きつけるものがあります。
演奏する人の中で音楽が自然に流れているのです。
逆に、どんなに「上手くて」も、音楽が自然に流れていなかったり、演奏している人の見栄や自己顕示欲を感じるものは、惹かれません。
日本で音大生だったときも、学内で演奏会はよく行われていたし、学生料金で聴けたので結構演奏会は行っていました。
でも当時は単純に技術に目を奪われていたり、「有名だから」とか、今思えば表面的なところしか聴いていなかったと思います。
上司からの言葉により、「良い演奏」とそうでない演奏の違いは何か?という意識を持って聴いていたのは本当に良い経験でしたし、今思っても感謝しかありません。
そういうわけで、生徒達に指導をする際も、どう教えたらこの子の思いを尊重しつつ音楽が自然になるか?ということを考えながらレッスンを行うようになりました。
音楽が自然であること
音楽を最優先にすること
これはこれからも私の中で揺るぎないものです。
そして、自分自身も「良い演奏」ができるよう、日々頑張っていきます。